フランクフルトのエブヌタリブ、クロップの電話が決め手でドイツ代表選出

レビュー担当: 山本拓也
概要

フランクフルトFWユネス・エブヌタリブが、クロップ監督の直接電話が決め手でドイツ代表を選んだ経緯と、モロッコ側の反応、今後の代表戦を解説。

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アイントラハト・フランクフルトのFWユネス・エブヌタリブ(23)は、ユルゲン・クロップ新監督からの直接の電話がモロッコ代表ではなくドイツ代表を選ぶ決め手になったと明らかにした。エブヌタリブは「彼から電話がかかってきたら、ノーとは言えない」と語り、クロップの直接的な働きかけの重要性を強調した。クロップはこの発言を受け、エブヌタリブをドイツA代表の最初の招集メンバーに名を連ねさせている。

エブヌタリブは、モロッコサッカー協会とも話し合いの機会があったことを認めたうえで、「(モロッコ側との話は)ユルゲンほど濃密なものではなかった」と述べ、クロップとのやり取りがいかに直接的で強い説得力を持っていたかを対比させて説明した。この発言により、今季ブンデスリーガで台頭してきたフランクフルトの新戦力が、なぜドイツという選択に至ったのかという経緯が初めて本人の言葉で明らかになった。

クロップが44人を招集、初陣はオランダ戦とギリシャ戦

ドイツ代表監督に就任したクロップは、2026年9月の国際Aマッチウィークに向けて2つのグループに分けた合計44人の候補選手を発表した。このうち11人が今回初めてA代表に選出された選手で、エブヌタリブもその一人に数えられている。ドイツは9月24日にオランダと、9月27日にはギリシャと対戦する日程が組まれており、クロップ体制での実質的な船出となる。

今回のメンバーには、フランクフルトから3人が選出されている点も注目される。エブヌタリブに加え、GKノア・アトゥボル、MFヨナタン・ブルカルトがクロップの構想に含まれており、クラブ公式チャンネルもこの3人体制を「フランクフルトにとって大きな意味を持つ」と伝えている。中でもエブヌタリブの選出は、最も意外性のある人選の一つとして紹介された。

2. ブンデスリーガで12得点、フランクフルト移籍後も好調維持

エブヌタリブの招集は、単なる話題性だけでなく実績に裏打ちされたものでもある。彼は2025-26シーズン前半戦、2部リーグのエルバースベルクで12得点を記録する活躍を見せ、冬の移籍市場でフランクフルト行きが決まった。ただし、この移籍は負傷の影響で正式な合流が遅れたとブンデスリーガ公式サイトは伝えている。

フランクフルトでの本格的な出場機会を得た今シーズン、エブヌタリブはここまで公式戦4試合で4得点を記録している。この得点感覚の高さが、クロップの目に留まった要因の一つとみられる。エブヌタリブはモロッコのU15年代で代表経験があるものの、A代表としてはモロッコ、ドイツいずれの代表でも出場歴がない状態での今回の招集となった。

クロップ体制下でのドイツ代表は、同じく直接の電話でのアプローチが選手の心を動かした例として、アントン・カーデがシャルケ戦でゴールとアシストを記録しクロップの構想に入った事例とも通じるものがある。クロップは若手選手個人への直接コミュニケーションを重視する姿勢を、就任当初から一貫して見せている。

モロッコ代表監督ワビ氏「最終判断は選手本人のもの」

一方、モロッコ代表を率いるモハメド・ワビ監督は、エブヌタリブがドイツを選んだことについて「最終的な決断は選手自身のものだった」とコメントし、モロッコ協会としてこの件を追いかけ続けるつもりはないことを示唆した。ワビ監督は「我々はこれからも(強化を)続けていく」と述べ、事実上この移籍問題に区切りをつける発言をしている。

モロッコは近年、欧州で育った複数国籍選手の代表選考に力を入れてきた国の一つであり、今回の一件は同協会にとって痛手となる可能性もある。しかし、ワビ監督の発言からは、モロッコ協会側がこの結果を冷静に受け止め、次の世代の発掘に focus(注力)する意向であることがうかがえる。

クロップの「直接電話」という代表招集戦略

クロップがドイツ代表監督として見せている「選手に直接電話をかける」というアプローチは、単なる儀礼的な招集連絡ではなく、選手自身の心情に働きかける説得材料として機能している。エブヌタリブのケースでは、モロッコ側との対話が「濃密ではなかった」という言葉と対比させることで、クロップの個人的な関与がいかに大きかったかが浮き彫りになった。

複数の代表資格を持つ若手選手の争奪戦は近年の国際サッカー界で常態化しており、監督自らが電話をかけるという直接的なアプローチは、選手の帰属先を左右する重要な要素になりつつある。ドイツサッカー連盟(DFB)にとっても、こうした事例は今後の代表強化における人材獲得戦略のモデルケースとなる可能性がある。

エブヌタリブのプロフィールとキャリアの歩み

時期所属クラブ・カテゴリー主な実績
2025-26シーズン(冬移籍後)アイントラハト・フランクフルト公式戦4試合4得点
2025-26シーズン前半戦SVエルバースベルク(2部)12得点
年代別代表モロッコ代表(U15)A代表出場歴なし

この表が示す通り、エブヌタリブは2部リーグでの得点力を武器に1部への足がかりを掴み、移籍先のフランクフルトでも即座に結果を残している。23歳という年齢は、代表選手としてはこれから長期的な貢献が期待できるタイミングでもあり、クロップがこのタイミングでの招集を決めた背景には、将来性を見据えた強化方針があるとみられる。

今後の注目点

ドイツは9月24日のオランダ戦、27日のギリシャ戦という2連戦でクロップ体制の第一歩を踏み出す。エブヌタリブがこの2試合でメンバー入り、あるいは実際にピッチに立つかどうかは、今後の代表定着を占う上で重要な意味を持つ。11人の初招集組の中で、彼がどの程度クロップの信頼を得られるかにも注目が集まる。

フランクフルトの選手がナイター照明の下でウォームアップする様子

また、モロッコ協会が今後、同様の複数国籍を持つ有望株の代表選考にどう対応していくかも注視される。今回の一件は、欧州で育成された若手選手の代表選択が、監督個人の関わり方によって左右され得ることを改めて示した事例として、今後も比較対象として語られる可能性が高い。

フランクフルトにとっても、クラブから3人がドイツ代表に選出されたことは、クラブの育成・補強戦略が国内トップレベルで評価されていることの証左といえる。今シーズンのブンデスリーガでのエブヌタリブのさらなる活躍次第では、次回以降の代表招集にもつながる見通しだ。

Sources

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Kenji Sato, LifeBogger author

Kenji Sato

こんにちは!LifeBogger日本語版のライター、Kenji Satoです。サッカー選手の子供時代と半生を追いかけ、出自や家族、キャリア初期の歩みを調べています。スポットライトが当たるずっと前の物語こそ、その選手を最もよく語ってくれると考えています。

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