サッカースターたちの語られざる子供時代の物語と伝記

ムドリクがトッテナムで足首負傷、復帰から僅か16分で6〜8週間離脱へ
概要
トッテナムのムドリクがトレーニング中に足首を負傷し6〜8週間離脱へ。ドーピング問題からの復帰後わずか16分の公式戦出場で再び戦線離脱。デ・ゼルビ監督は「愚かな怪我」と嘆く。
目次
トッテナム・ホットスパーのウクライナ代表ウインガー、ミハイロ・ムドリク(25歳)がトレーニング中に左足首を負傷し、6〜8週間の離脱を余儀なくされることが2026年9月9日に報じられた。チェルシーからのシーズンローンで加入し、ドーピング違反による646日間の出場停止からようやく復帰を果たしたムドリクにとって、わずか16分間の公式戦出場後に訪れた痛恨の挫折である。
デ・ゼルビ監督が「愚かな怪我」と嘆く
トッテナムのロベルト・デ・ゼルビ監督は2026年9月11日の記者会見で、ムドリクの負傷について率直な感想を述べた。ESPNの報道によると、デ・ゼルビ監督は「ムドリクの件は、愚かな怪我だった。できるだけ早く復帰できることを願っている。彼のためにも、我々のためにも」と語った。
この負傷は9月8日(月曜日)のトレーニングセッション中に発生したとされ、ムドリクは現在、左足にプロテクティブブーツを装着している状態だと複数の英メディアが伝えている。ロイター通信は9月12日付でこの負傷を報道し、デ・ゼルビ監督がウクライナ代表選手の「できるだけ早い復帰」を望んでいると報じた。
わずか16分間のスパーズでの出場後に離脱
ムドリクは2026年9月1日の移籍締切日にチェルシーからトッテナムへシーズンローンで加入した。この移動は、チェルシーとトッテナムの間で直接的な選手移籍が実現した事例としては、2009年のカルロ・クディチーニ以来初のケースとなった。
スパーズでのデビューは9月5日、ノッティンガム・フォレスト戦(0-0のドロー)で途中出場という形で果たされた。これは、ドーピング問題による長期離脱を経ての実に646日ぶりの公式戦出場であった。しかし、その感動的な復帰からわずか数日後、トレーニング中の足首負傷により再び戦線離脱を強いられることになった。
イタリアの著名な移籍情報ジャーナリスト、ファブリツィオ・ロマーノも、ムドリクの離脱期間が6〜8週間に及ぶ見通しであることを確認している。これにより、復帰は早くても10月中旬以降となり、エヴァートン戦、リヴァプール戦、アストン・ヴィラ戦を含む最大7試合を欠場する可能性がある。
メルドニウム問題の経緯——4年間の出場停止と減刑
ムドリクの足首負傷が特に痛手である背景には、彼が乗り越えてきたドーピング問題の長い苦難がある。
ムドリクの体内から検出されたのは、心臓疾患治療薬であるメルドニウムの低濃度成分であった。メルドニウムはアスリートの回復力向上や持久力の改善に効果があるとされ、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が2016年に禁止リストに追加した物質である。同じ薬物は、ロシアのテニス選手マリア・シャラポワが2016年に陽性反応を示したことでも世界的に知られている。
イングランドサッカー協会(FA)はムドリクに対し当初4年間の出場停止処分を科した。しかし、スポーツ仲裁裁判所(CAS)への上訴を経て、FAおよびWADAとの合意により処分期間が短縮された。BBCの報道によると、ムドリクはアンチ・ドーピング規則違反を認め、既に服務した期間と同等の出場停止を受け入れたことで、2026年7月31日付で「即時競技復帰」が認められた。
チェルシーでの居場所を事実上失ったムドリクにとって、トッテナムへのローン移籍は復帰への唯一の道筋であった。チェルシーはこのローン契約に8750万ユーロ(約7500万ポンド)の買取オプション条項を含めており、当初の獲得費用7000万ユーロを上回る額での完全移籍の可能性も残している。
チェルシーでの3シーズン——期待と現実の乖離
ウクライナのシャフタール・ドネツクで欧州サッカー界に衝撃を与えたムドリクは、2023年1月にチェルシーへ移籍した。当初はアーセナルが獲得に動いていたものの、チェルシーが横からさらう形で大型契約を勝ち取った経緯がある。
しかし、スタンフォード・ブリッジでの3シーズンは、期待されたほどの成功を収めることはできなかった。以下のテーブルに、チェルシーでの全成績をまとめる。
| シーズン | リーグ出場 | リーグ得点 | カップ戦出場 | カップ戦得点 | 欧州カップ戦出場 | 欧州カップ戦得点 | 合計出場 | 合計得点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024-25 | 7 | 0 | 2 | 0 | 6 | 3 | 15 | 3 |
| 2023-24 | 31 | 5 | 10 | 2 | 0 | 0 | 41 | 7 |
| 2022-23 | 15 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 17 | 0 |
| 合計 | 53 | 5 | 12 | 2 | 8 | 3 | 73 | 10 |
プレミアリーグ53試合で5得点という数字は、7000万ユーロの移籍金に見合うものとは言い難い。特に2022-23シーズンの1月加入後は17試合で無得点と、適応に苦しんだ。2023-24シーズンに全コンペティションで7得点を記録し改善の兆しを見せたものの、2024-25シーズン途中でドーピング問題が発覚し、キャリアは暗転した。
646日間の空白——復帰までの長い道のり
ムドリクが最後にチェルシーの選手として公式戦のピッチに立ったのは2024年12月頃のことである。そこから2026年9月5日のトッテナムでのデビューまで、実に646日間もの空白期間があった。
この間、ムドリクはチェルシーの施設でトレーニングを続けていたが、試合には出場できない状態が続いた。25歳という選手として最も重要な時期に約2年間のブランクを経験したことは、フィジカル面だけでなくメンタル面でも大きな負担であったことは想像に難くない。
デ・ゼルビ監督は負傷前のノッティンガム・フォレスト戦に先立ち、ムドリクの状態について「試合の一部に出場する準備はできている。今すぐ20分、15分、30分はプレーできると思う」と語っていた。このコメントは、ムドリクを段階的に試合に復帰させる慎重なアプローチを示すものであったが、足首の負傷によりその計画は白紙に戻された。

トッテナムへの影響——デ・ゼルビ体制の補強に痛手
トッテナムにとって、ムドリクの負傷は2026-27シーズンの戦力構想に少なからぬ影響を与える。デ・ゼルビ監督は2025年にマウリシオ・ポチェッティーノの後任としてスパーズの指揮を執り始め、攻撃的で魅力的なサッカーの構築を進めてきた。ムドリクのようなスピードとドリブル力を備えたウインガーは、デ・ゼルビのポゼッションベースのシステムにおいて不可欠なピースとなるはずであった。
ムドリクが欠場する可能性のある試合には、プレミアリーグのエヴァートン戦、リヴァプールとのマージーサイド遠征、そしてアストン・ヴィラ戦など、シーズン序盤の重要な対戦が含まれる。9月の国際Aマッチウィークを挟むことで回復時間を確保できる側面はあるものの、10月中旬までの復帰は楽観的な見通しとされている。
スパーズのサポーターの間では、クラブに「怪我の呪い」があるとの声も根強い。近年、トッテナムでは主力選手の負傷が相次いでおり、ムドリクの一件もその系譜に連なるものとして受け止められている。英紙『ザ・サン』は「ムドリクがトッテナムの呪いの新たな犠牲者」と報じ、クラブのメディカルスタッフの対応にも疑問の声が上がっている。
チェルシーとトッテナムの異例のローン——ライバル間の直接移籍
今回のムドリクのローン移籍は、チェルシーとトッテナムというロンドンのライバルクラブ間で直接選手が移動するという異例の取引であった。両クラブ間の直接的な選手移籍は、2009年にカルロ・クディチーニがチェルシーからスパーズに移った時以来、約17年ぶりのことである。
チェルシーがこの移籍を認めた背景には、ドーピング問題を経たムドリクの市場価値の低下と、膨大な選手人件費の削減を進めるクラブの方針がある。8750万ユーロ(約7500万ポンド)の買取オプション条項は、チェルシーが当初の投資額7000万ユーロを回収し、さらに利益を得られる可能性を確保するものだ。ただし、現時点でのムドリクのパフォーマンスと怪我の状況を考えれば、トッテナムがこのオプションを行使する可能性は不透明と言わざるを得ない。
ムドリクのキャリア年表——シャフタールからスパーズまで
ミハイロ・ムドリクの波乱に満ちたキャリアを時系列で振り返る。
- 2001年1月5日:ウクライナ・クラスノフラド生まれ
- 2018年:シャフタール・ドネツクのトップチームに昇格
- 2022-23シーズン:UEFAチャンピオンズリーグのグループステージでの活躍により欧州中の注目を集める
- 2023年1月:チェルシーに初期移籍金7000万ユーロで加入
- 2023-24シーズン:チェルシーで全コンペティション41試合7得点を記録
- 2024年末頃:ドーピング検査でメルドニウムの低濃度陽性反応が判明
- 2025年初頭:FAにより4年間の出場停止処分
- 2026年7月31日:CASとの協議を経て即時復帰が認められる
- 2026年9月1日:チェルシーからトッテナムにシーズンローンで移籍
- 2026年9月5日:ノッティンガム・フォレスト戦で646日ぶりの公式戦出場
- 2026年9月8日:トレーニング中に左足首を負傷
- 2026年9月9日:6〜8週間の離脱が報じられる
ウクライナ代表への影響
ムドリクの負傷は、ウクライナ代表チームにとっても打撃となる。ドーピング問題からの復帰後、ウクライナサッカー協会はムドリクの代表復帰を歓迎する姿勢を見せていたが、今回の負傷により9月の国際Aマッチウィークでの招集は見送られることが確実となった。
ウクライナにとってムドリクは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、困難な状況の中で戦い続ける代表チームの象徴的な存在でもある。シャフタール・ドネツク時代からの彼のプレーは、戦禍に苦しむ母国に希望を与えてきた。それだけに、ドーピング問題を乗り越えてようやく復帰を果たした矢先の負傷は、ファンにとっても大きな落胆材料である。
メルドニウム問題の国際的背景
ムドリクのドーピング問題を理解するには、メルドニウムという物質の国際的な背景を知る必要がある。メルドニウムは旧ソ連圏で広く使用されてきた心臓疾患治療薬で、体内の酸素運搬効率を高める効果があるとされる。WADAが2016年に禁止物質リストに追加して以降、東欧諸国のアスリートを中心に多数の陽性事例が報告されてきた。
最も有名なケースは、ロシアのテニス選手マリア・シャラポワが2016年の全豪オープン後に陽性反応を示し、2年間の出場停止処分を受けた事例である。サッカー界ではムドリクのケースが最も注目度の高い事例の一つとなった。
ムドリクは「低濃度」のメルドニウムが検出されたとされており、意図的な使用ではなく汚染された栄養補助食品が原因である可能性も指摘されていた。最終的にFAとWADAとの合意により、既に服務した期間をもって処分とすることで決着がついた。
今後の展望——復帰と買取オプションの行方
ムドリクの復帰目標は10月中旬以降とされているが、BBCは「回復が長引けば11月までずれ込む可能性もある」と伝えている。シーズンローンという限られた期間の中で6〜8週間を失うことは、トッテナムでの将来を左右する重大な要素となりかねない。
チェルシーが設定した8750万ユーロの買取オプション条項は、ムドリクがスパーズで継続的な活躍を見せることが行使の大前提となる。しかし、デビューからわずか数日での長期離脱は、この条項の実現可能性に暗い影を落としている。
デ・ゼルビ監督は「彼のためにも、我々のためにも」できるだけ早い復帰を望むと語ったが、25歳のウクライナ代表が本来のパフォーマンスを取り戻すには、焦らずじっくりとリハビリに取り組む必要がある。646日間のブランクを経て、さらに6〜8週間の離脱——ムドリクの再起への道は、依然として険しい。
プレミアリーグのファン、そしてウクライナの人々は、この才能ある25歳のウインガーが逆境を乗り越え、再びピッチで輝く姿を心から待ち望んでいる。トッテナム・ホットスパー・スタジアムでムドリクが再びボールを追う日が、1日でも早く訪れることを願うばかりだ。
Sources
- ESPNの報道 — espn.com
- ロイター通信 — reuters.com
- BBCの報道 — bbc.com
- トッテナムで再出発のムドリクに痛手 足首の負傷で最大2カ月 … — news.yahoo.co.jp
- 今夏にトッテナム加入のムドリク、練習中に足首を負傷か … — soccer-king.jp
Photo: Dynamomania.com, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons



