サッカースターたちの語られざる子供時代の物語と伝記

町田ゼルビア、10人で望月ヘンリー海輝が84分同点弾——開幕7戦無敗でJ1首位堅守
概要
FC町田ゼルビアは9月12日の横浜FM戦で明本考浩退場後、望月ヘンリー海輝の84分同点ボレーで1-1に。開幕7戦無敗でJ1リーグ首位をキープした。
目次
2026年9月12日、明治安田J1リーグ第7節でFC町田ゼルビアが横浜F・マリノスとMUFG国立競技場で対戦し、1-1の引き分けに終わった。後半36分にMF明本考浩が2枚目のイエローカードで退場し10人となった町田は、窮地に立たされたが、わずか3分後の84分にDF望月ヘンリー海輝が左足ボレーで劇的な同点弾を決め、開幕から7戦無敗(5勝2分け)でJ1リーグ首位の座を守り抜いた。観客動員は48,623人を記録した。
谷村海那の先制ヘッド、横浜FMが前半を支配
試合は前半12分に動いた。横浜F・マリノスのMF松村晃助が右コーナーキックを鋭く蹴り込むと、ペナルティエリア中央でFW谷村海那がマークを巧みに外してヘディングで合わせ、ゴール下隅にねじ込んだ。今季6得点目となるこの先制弾により、横浜FMが試合の主導権を握った。スポニチの報道によると、横浜FMの守備陣は前半43分まで町田にシュートを1本も許さず、完全に試合をコントロールしていた。
谷村は試合後、「ゴールに関しては、(松村)晃助のボールが良かったので当てただけだった。あのゴールのポイントは、自分についているマークをうまく剥がせたところだった」と振り返った。今季開幕から6試合で6ゴールと得点ランキング上位に位置する谷村にとって、首位チーム相手の大一番で実力を証明する一撃となった。
明本考浩の退場——10人になった町田の窮地
後半に入っても町田は劣勢を覆せず、黒田剛監督は選手交代カードを切って攻勢を試みた。しかし、後半36分(81分)に事態は一層悪化する。MF明本考浩(28歳)がこの試合2枚目のイエローカードを受け、退場処分となった。1点を追う展開で数的不利に陥り、町田は絶体絶命の状況に追い込まれた。
通常であれば、1点ビハインドで10人になったチームが勝ち点を拾うのは困難を極める。しかし、町田の選手たちはベンチからの指示を待たずに自発的に動いた。望月ヘンリー海輝は試合後、「退場者が出た時に、チームとして点を取りにいこうと話し合っていた。積極的になった結果かなと思います」と明かしている。守りに入るのではなく、逆に攻めに出るという判断が、わずか3分後に劇的な結果を生むことになる。
望月ヘンリー海輝、左足ボレーで値千金の同点弾
退場からわずか3分後の84分、その瞬間は訪れた。右サイドでMF相馬勇紀が相手ディフェンダーを剥がしてクロスを上げると、相手にブロックされてこぼれ球が生まれた。前半はセンターバックとしてプレーし、後半から右ウイングバックにポジションを移していた望月ヘンリー海輝(24歳)がペナルティエリア内でこぼれ球に反応。利き足ではない左足でボレーシュートを放つと、ボールは相手選手に当たって軌道が変わり、ゴールネットを揺らした。
望月はサッカーキングの取材に対し、「ウイングバックが中に入ってきたのは意識していたし、僕もそれを意識していた中でこぼれてきたので思い切って足を振った」と語った。さらに「素直に足が動くんですかね」と、利き足ではない左足で決めたことへの驚きも口にした。ゴール直後には足をつってピッチ上で一時倒れ込む場面もあり、すべてを出し切った執念のゴールだったことが伺えた。
それでも望月は殊勲のヒーローとして浮かれることなく、冷静にチームの課題を指摘した。「結果として僕だっただけ。みんなの力だと思っているので、そこはあまり気にしていない」と控えめに語る一方で、「ちょっと弱さが出た試合かなと」と試合全体の内容に対する反省も忘れなかった。
黒田剛監督が語る「ロケットスタート」と無敗の意味
黒田剛監督(56歳)は試合後の記者会見で、望月の同点弾について「足をつりかけても押し込んでくれて、決定機をつくってくれた」と称賛した。10人になっても攻め続けた選手たちのメンタリティを高く評価しつつ、シーズン序盤の戦略について次のように語っている。
「開幕から”ロケットスタート”を決めるということは選手たちとも話してきたことですし、優勝を目指す以上はシーズンの序盤に2位や3位で、もたついてしまうことはチームとしてしんどいですから。この段階で一歩抜け出すのは絶対に必要なことだと思っていました」と、首位を走ることの重要性を強調した。
さらに黒田監督は「そうは言っても先のことばかりは見ずに、とにかく目の前の一戦に集中してすべてを懸けること。目の前の試合をきちっと勝ち切れるかどうか。今後もそれに尽きると思っています」と、一戦必勝の姿勢を改めて示した。この言葉は、開幕から無敗を維持しながらも地に足のついた姿勢を貫く町田の哲学を端的に表している。
町田ゼルビアの開幕7戦無敗——数字が示す首位の強さ
この引き分けにより、町田は2026-27シーズンの成績を5勝2分け0敗、勝ち点17とし、J1リーグ首位を堅守した。得点19、失点6、得失点差+13という数字は、リーグ全体でもトップクラスの攻守バランスを示している。
| 節 | 日付 | 対戦相手 | H/A | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 第7節 | 9月12日 | 横浜F・マリノス | H | △ 1-1 |
| 第6節 | 9月6日 | 名古屋グランパス | A | ○ 3-1 |
| 第5節 | 9月2日 | 川崎フロンターレ | H | ○ 2-1 |
| 第4節 | 8月29日 | 水戸ホーリーホック | A | △ 1-1 |
特筆すべきは、町田が今季まだ一度も敗北を喫していないという事実だ。2025シーズンを6位で終えたチームが、今季は開幕から首位を走り続けている。黒田監督が就任以来築き上げてきたフィジカルとメンタルの強さ、そしてセットプレーやロングスローを武器にした独自の戦術が、着実に結果に結びついている。
望月ヘンリー海輝——日本代表DFの成長曲線
今回の殊勲の同点弾を決めた望月ヘンリー海輝は、24歳のディフェンダーだ。日本代表の経験も持つ長身DFは、2026年シーズン開幕戦の横浜FM戦でも相手のビルドアップをカットして先制点の起点となるなど、攻守両面でチームに欠かせない存在となっている。
望月はサッカーダイジェストのインタビューで「まずは町田の勝利に専心。勝たせる選手になっていかないと」と語り、代表でのキャリアアップについても「その延長線上で個人的な評価も上がっていけばいい」と謙虚な姿勢を見せている。この試合ではセンターバックから右ウイングバックへとポジション変更に柔軟に対応し、最終的にゴールという結果で貢献した。そのユーティリティ性は、チームの戦術的な幅を広げる大きな武器となっている。

横浜FMコリカ監督——「選手の姿勢は責められない」
一方、数的優位に立ちながら勝ち点3を逃した横浜F・マリノスのコリカ監督は、複雑な心境を試合後に語った。スポニチの報道によると、コリカ監督は「いいパフォーマンスだったと思う。セットプレーで得点できたことは良かった。ボックスの守備も頑張っていたし、対応は良くできていた。結果は残念だが、選手たちが見せてくれた姿勢を責めることができない」と述べた。
横浜FMにとっては、相手が10人になった後の約10分間で追加点を奪えなかったことが悔やまれる結果となった。今季2度目の連勝を狙った試合で勝ち点1にとどまり、首位町田との差を詰めることはできなかった。横浜FMの選手からは「相手が一人少なかったので、優勝を目指す上ではこういう勝ち点の落とし方は絶対やってはいけないと思います」という厳しい自己評価も聞かれた。
試合のターニングポイント——退場から同点弾までの3分間
この試合の最大のドラマは、81分の明本退場から84分の望月同点弾までのわずか3分間に凝縮されている。通常、退場直後は守備の再編成に時間を要し、相手に主導権を握られるケースが多い。しかし町田は、数的不利になった瞬間に攻めの姿勢を選択した。
「厚い選手層を武器に交代カードを次々と切って攻勢を強め」た町田は、横浜FMの守備が一瞬の油断を見せた隙を逃さなかった。相馬勇紀のクロスからこぼれ球に反応した望月のボレーシュートは、まさに「値千金」の一撃だった。SPAIAの試合レポートでも「後半39分に望月が値千金の同点ゴールを決めて意地を見せた」と報じられている。
48,623人が詰めかけたMUFG国立競技場は、この同点弾で爆発的な歓声に包まれた。「MUFG THE国立DAY」と銘打たれたこの一戦は、J1リーグ屈指の好カードにふさわしい劇的な幕切れとなった。
J1リーグ2026-27シーズン序盤の勢力図
この第7節を終えた時点で、町田は勝ち点17でリーグ首位を走っている。Jリーグ公式サイトのデータによると、町田の7試合での得点19は攻撃力でもリーグトップクラスだ。一方、失点6は堅守も兼ね備えていることを示しており、得失点差+13はリーグ最高の数字となっている。
2025シーズンに6位だった町田がここまで飛躍的な成績を残している背景には、黒田監督の下で2年目を迎えた戦術的な成熟がある。セットプレーやロングスローを駆使した攻撃は相手チームに脅威を与え続けており、さらに望月や相馬といった日本代表クラスの選手がチームの骨格を形成している。また、町田は2024年にJ2からJ1に昇格したばかりのクラブであり、わずか数年でリーグ首位に立つまでに成長したストーリーは、日本サッカー界でも注目を集めている。
今季の松木玖生がサウサンプトンで今季初ゴールを決めたように、日本人選手は欧州でも活躍の場を広げているが、国内のJ1リーグも負けず劣らず高いレベルの戦いが繰り広げられている。町田の開幕無敗記録はその象徴的な出来事だ。
今後の展望——無敗記録はどこまで伸びるか
町田は次節以降もリーグ首位を守りながら、無敗記録の延伸を目指す。しかし、この試合で浮き彫りになった課題も少なくない。前半にシュート0本という攻撃の停滞、そして明本の退場につながった不用意なファウルは改善が必要だ。望月自身が「ちょっと弱さが出た試合かな」と指摘したように、10人になっても勝ち点を拾った精神力は評価できるが、内容面では反省材料が多い。
横浜FMにとっても、首位チームを追い詰めながら勝ち切れなかったこの試合は大きな教訓となるだろう。谷村海那の6ゴールに象徴される攻撃力は健在だが、数的優位を活かしきれなかった試合運びの改善が求められる。
J1リーグ2026-27シーズンはまだ序盤戦。町田の無敗記録がどこまで伸びるのか、そして後続チームが首位の座を脅かすことができるのか。今後の展開から目が離せない。



