堂安律、サウジ移籍を土壇場で拒否——アイン・フランクフルト残留、個人的理由でアル・イッティハード行きを断る

レビュー担当: 山本拓也
概要

堂安律がアル・イッティハードへの1700万ユーロ移籍を土壇場で拒否。個人的理由でフランクフルト残留を選択した経緯を詳報。

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日本代表MF堂安律(28)が、2026年8月31日、サウジアラビア・プロリーグのアル・イッティハードへの移籍を土壇場で個人的理由から拒否し、アイン・フランクフルトに残留することが明らかになった。ドイツ紙キッカーや複数の欧州メディアが報じたところによると、クラブ間では1700万ユーロ(約27億円)の移籍金で合意に達していたものの、当の堂安本人が最終段階でオファーを断った。

英スポーツメディア「ライブスコア」は同日、「堂安律が衝撃の移籍Uターン——日本代表スターが多額のアル・イッティハード移籍を拒否し、フランクフルト残留へ」と題した記事を公開し、報道の信頼性を裏付けた。ドイツ専門メディア「ゲット・フットボール・ニュース・ジャーマニー」も、「個人的理由」を理由に挙げた独紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)の報道を引用しながら、この動きを確認した。アイン・フランクフルトおよびアル・イッティハードからの公式声明は、記事執筆時点では出ていない。

交渉の経緯——クラブ合意から個人拒否まで

今夏の移籍市場において、サウジアラビア勢が欧州のトップ選手を積極的に獲得しようとするなか、アル・イッティハードは8月28日ごろから堂安への関心を具体化させ始めたとされる。複数の欧州メディアの報道によれば、同クラブはアイン・フランクフルトに対し約1800万ユーロの正式オファーを提示。フランクフルト側は当初抵抗を示したが、8月31日にはキッカー誌が「両クラブが1700万ユーロで合意し、残るは形式的な手続きのみ」と報道するまでに事態は進展した。

しかし、その数時間後に状況は一変する。堂安本人がサウジ行きを固辞したとの報道が相次ぎ、移籍交渉は白紙に戻った。FAZが「個人的理由」と伝えたこの決断は、サッカー界に衝撃を与えた。2025年8月にフライブルクからアイン・フランクフルトへ移籍し、2030年6月までの長期契約を結んでいた堂安にとって、契約面での不安もなく、自ら移籍を望む必要はなかった。

堂安律とは何者か——プロフィールと経歴

堂安律は1998年9月16日、兵庫県宝塚市生まれ。ガンバ大阪ユース出身で、2017年にトップチームへ昇格したのち、同年オランダのフローニンゲンへ渡った。その後、オランダ・リーグとブンデスリーガで磨いたテクニカルな足技とゴール感覚を武器に、ビーレフェルト(レンタル)、PSVアイントホーフェン(レンタル)を経て2022年にフライブルクへ完全移籍。フライブルクでの3年間で123試合に出場し26ゴール・23アシストという際立った成績を残し、日本代表においては「10番」を背負う攻撃の中核として不動の地位を確立した。

2025年8月にはロイターが報じた通り、アイン・フランクフルトへ5年契約で加入。ドイツの名門クラブへの完全移籍は、彼のキャリアにおける新たなステップアップとして広く歓迎された。

Eintracht Frankfurt footballer dribbling under stadium floodlights

なぜブンデスリーガを選んだか——堂安の判断を読み解く

今回の拒否劇が示しているのは、堂安律にとってヨーロッパのサッカーがいかに重要かということだ。サウジ・プロリーグは近年、莫大なオイルマネーを背景に元ワールドクラスの選手たちを続々と引き抜いてきた。クリスティアーノ・ロナウド、カリム・ベンゼマ、ネイマールらに続き、若手・現役世代のビッグネームへも触手を伸ばしている。

しかし堂安の立場は異なる。28歳という年齢は、まだサッカー選手としてのキャリアの絶頂期にある。日本代表の主力としてワールドカップやアジアカップを継続的に戦うためにも、欧州トップリーグでの実績を積み続けることは必要条件だ。サウジ移籍は財政的には魅力的であっても、国際的な競争力や代表での地位に影を落とす可能性があった。

また、フランクフルトとの契約は2030年まで残っており、クラブ側からの売却圧力もなかった。堂安本人が動く意思を示さない限り、移籍は成立しない構造であった。フランクフルトのコーチ陣も、移籍話が浮上した当初から堂安の慰留を望んでいたとも伝えられる。

日本代表とブンデスリーガにおける堂安の役割

日本代表の「10番」を担う堂安にとって、欧州での高水準なプレー環境を維持することはピッチ内のパフォーマンス維持にも直結する。森保一監督体制のもとで日本代表は2022年カタールW杯でベスト16進出を果たし、その後のアジア競技でも頂点を争う強豪として定着。堂安はその攻撃陣の中核として不可欠な存在だ。

フランクフルトは2026-27シーズンもブンデスリーガの上位争いを目標に掲げており、堂安が残留することでチームの攻撃の核が維持される。昨シーズンからのフライブルク時代の実績を引き継ぎ、フランクフルトでもスタートから高いパフォーマンスを見せていた堂安の残留は、クラブにとっても朗報といえる。

同日の移籍市場における日本人選手の動き

8月31日から9月1日にかけての移籍市場最終盤では、堂安の残留決定以外にも、日本人選手に関する複数の重要なニュースが飛び込んできた。

  • 鈴木彩艶(24):イタリア・パルマからプレミアリーグのアストン・ヴィラへ移籍が確定。アストン・ヴィラの公式サイトは8月19日にこれを発表しており、移籍金は約3000万ポンド(初期費用)+ボーナス、総額3500万ユーロ規模とされる。5年契約でヴィラの正GKとしての地位を狙う。なお、当初有力視されていたパリSG行きは最終局面で破談となっていた。
  • 中村敬斗:フランス・リーグ1のランスからオランピック・リヨンへの移籍について、移籍金総額約37億円・4年契約で合意し、9月1日にメディカルチェックを受診する段階に至ったとサッカーキングなどが報じた。(本件は既報のため詳細はこちら
  • 上田綺世:フェイエノールトからフランス・リール移籍が正式発表された。4年契約・背番号18で、クラブ史上初の日本人選手としての歴史的な移籍となった。
  • 高井幸大:トッテナムからベルギーのシント=トロイデンへのレンタル移籍が9月1日付で確定した。
  • 冨安健洋:アヤックスからプレミアリーグのクリスタル・パレスへ復帰し、鎌田大地と同僚となった。
  • 板倉滉:アヤックスからブンデスリーガの古巣ボルシアMGへ帰還が決定。
  • 佐野海舟:PSVアイントホーフェンへの移籍が確定し、エレディビジアで新章を開く。

移籍市場2026年夏:日本人選手の欧州移籍一覧

2026年夏の移籍市場は、日本人選手にとって歴史的な規模の動きとなった。以下は確認された主な移籍・去就の一覧だ。

選手名移籍元移籍先ステータス
鈴木彩艶(GK)パルマ(イタリア)アストン・ヴィラ(イングランド)完了(8月19日公式発表)
上田綺世(FW)フェイエノールト(オランダ)リール(フランス)完了(8月31日公式発表)
中村敬斗(MF)ランス(フランス)リヨン(フランス)合意済み・9月1日メディカル
堂安律(MF)フランクフルト(ドイツ)アル・イッティハード(サウジ)本人拒否・フランクフルト残留
冨安健洋(DF)アヤックス(オランダ)クリスタル・パレス(イングランド)完了
板倉滉(DF)アヤックス(オランダ)ボルシアMG(ドイツ)完了
佐野海舟(MF)マインツ(ドイツ)PSV(オランダ)完了
高井幸大(DF)トッテナム(イングランド)シント=トロイデン(ベルギー)ローン(9月1日確定)

サウジ・プロリーグと欧州サッカーの引力

今回の堂安拒否劇は、サウジ・プロリーグがヨーロッパで評価の高い選手を引き抜こうとする試みが必ずしも成功するわけではないことを改めて示した事例として注目されている。サウジ側はアル・ナスル、アル・ヒラル、アル・イッティハード、アル・アハリの「ビッグ4」を中心に、莫大な資金力で欧州リーグの選手を狙い続けている。カリム・ベンゼマが2023年にレアル・マドリードを離れてアル・イッティハードへ渡ったことが象徴的だが、ベンゼマは今夏、クラブと合意解除し事実上の引退を示唆したことも記憶に新しい(詳細はこちら)。

一方で、欧州サッカーには依然として強い魅力がある。チャンピオンズリーグ、UEFAヨーロッパリーグ、各国のトップリーグが提供する高い競技水準と国際的な注目度は、特に代表チームでの存在感を維持したい選手にとって、財政的なメリットをもってしても簡単に手放せるものではない。

堂安の場合、フランクフルトへの移籍からわずか1年での再移籍という点でも、タイミングとして最善でなかった側面もある。新しいクラブへの適応、ファンとの関係、チームへの貢献を重視する姿勢が今回の決断に影響した可能性は十分考えられる。

フランクフルトにとっての意味

アイン・フランクフルトは今夏、エミリアーノ・マルティネスの後釜を埋めるべく積極的に補強を進めた一方で、主力選手の慰留にも成功した格好となった。堂安は今季のフランクフルトにとってアタッキングミッドフィールダーの要であり、ドリブルと得点力を兼ね備えるその存在は代えが利かない。

クラブ首脳陣にとっても、契約が2030年まで残る堂安を1700万ユーロという比較的低廉な金額で手放す必要はなかった。市場価値の高い時期に適切な金額で売却するという観点からも、今回のタイミングでの移籍は必ずしもクラブにとって好条件だったとはいえなかった。

今後の展望——堂安の2026-27シーズン

移籍窓が閉まった今、堂安律はアイン・フランクフルトの一員として2026-27シーズンのブンデスリーガに全力を傾ける。フランクフルトはヨーロッパリーグへの出場権も有しており、堂安にとっては大陸間の舞台で結果を出す機会が続く。

ライブスコアが報じたように、今回の「衝撃のUターン」は日本サッカー界においても大きな反響を呼んでいる。日本のサポーターの多くは、欧州の名門クラブで10番を背負い続ける堂安の判断を歓迎しているようだ。

日本代表における次の国際試合に向けても、ブンデスリーガという高水準の場でコンディションを維持することは堂安のパフォーマンスにとって最良の準備となる。2025-26シーズンにフライブルクで積み上げてきた実績と、フランクフルトでの新たなスタートを考えれば、堂安は今後も欧州の第一線で輝き続けることが期待される。

堂安律の2026-27シーズンにおける活躍と、日本代表での動向から目が離せない。

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Sources

Photo: Amir Ostovari, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

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Kenji Sato, LifeBogger author

Kenji Sato

こんにちは!LifeBogger日本語版のライター、Kenji Satoです。サッカー選手の子供時代と半生を追いかけ、出自や家族、キャリア初期の歩みを調べています。スポットライトが当たるずっと前の物語こそ、その選手を最もよく語ってくれると考えています。

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